アルゴリズムアップデート対策
はじめに
Googleは検索アルゴリズムを年間数千回更新し、そのうち年に数回は検索結果が大きく入れ替わる「コアアップデート」を実施します。順位が急落したときに焦って大改修をすると、回復どころか状況を悪化させることがあります。必要なのは、影響を受けたかどうかを正しく判定し、原因の仮説を立て、優先順位をつけて改善し、次のアップデートまでに評価を積み直す一連の手順です。
このレッスンでは、コアアップデートの基本、影響判定の手順、主要なアップデートの種類と対策の方向性、下落時のリカバリー、そしてアップデートに強いサイトの設計と監視体制までを扱います。
コアアップデートの基本
対策を考える前に、コアアップデートの性質を押さえます。
- ◆頻度と期間: 年3〜4回実施され、展開(ロールアウト)には1〜2週間、長いものでは3週間以上かかる。展開中は順位が日ごとに揺れる
- ◆対象: 特定のサイトや手法を狙い撃ちにするものではなく、検索全体の評価方法の見直し。自サイトが何もしていなくても、競合の評価が上がれば相対的に下がる
- ◆公式見解: Googleは「コアアップデートで下落したページに修正すべき具体的な問題があるとは限らない」「コンテンツが最も役立つものになるよう見直すことが最善」としている
- ◆回復のタイミング: 改善の効果は次のコアアップデートで反映されることが多く、数週間で戻ることは少ない。3〜6か月単位で計画する
影響を受けたかを判定する手順
「下がった気がする」を数字で確認します。
- ◆タイムラインを照合する: Google Search Status Dashboardで公式のアップデート開始日と終了日を確認し、Search Consoleのクリック数・表示回数の推移と重ねる。展開期間と一致しない下落は、季節要因・技術的な問題・自サイトの変更を疑う
- ◆影響範囲を切り分ける: Search Consoleで「アップデート前28日」と「アップデート後28日」を比較し、ページ別・クエリ別に表示回数と平均順位の差を出す。サイト全体で一様に下がったのか、特定のディレクトリやテーマだけかを見る
- ◆被影響ページの共通点を探す: 下落したページ群に「更新が古い」「同じテーマのページが複数ある」「著者情報がない」「本文が薄い」「アフィリエイトリンクが多い」などの共通点がないかを一覧化する
- ◆競合と比較する: 主要クエリで順位が上がったサイトを3つ選び、コンテンツの深さ・一次情報の有無・ページ構成・更新日を自サイトと並べる。上がった側の特徴が、Googleが今回評価した方向性のヒントになる
- ◆技術要因を除外する: インデックス数の急減、noindexやcanonicalの誤設定、サーバーエラー、モバイル表示の崩れが同時期に起きていないかをSearch Consoleのカバレッジと拡張レポートで確認する
順位変動の規模を把握するには、SEMrush Sensor、MozCast、Similarweb等の変動指標や、自社の順位計測ツールの日次データが役立ちます。
主要なアップデートの種類と対策の方向性
名前の付いたアップデートは、それぞれ評価の観点が異なります。
- ◆コアアップデート: コンテンツ品質・E-E-A-T・検索意図との一致・ユーザー満足度の総合評価。対策は個別テクニックではなく、ページ群としての品質の底上げ
- ◆ヘルプフルコンテンツ(現在はコアの評価に統合): 検索エンジン向けに量産された、読者の役に立たないコンテンツをサイト単位で評価を下げる。薄い記事の整理と、実体験・一次情報の追加が対策
- ◆スパムアップデート: 購入リンク、隠しテキスト、期限切れドメインの悪用、大量の自動生成ページなどのポリシー違反を対象にする。ガイドライン違反の解消が唯一の対策で、手動対策を受けた場合は再審査リクエストが必要
- ◆レビュー(商品レビュー)アップデート: レビュー記事に対し、実際に使った証拠・比較・欠点の記述・独自の写真を評価する。カタログ情報の転載型レビューは下がる
- ◆ローカル検索のアップデート: Googleマップとローカルパックの評価変更。Googleビジネスプロフィールの情報整合性、カテゴリ、口コミ、NAP統一が対象
順位が下落したときのリカバリー手順
順番を守ることが重要です。
- ◆展開完了まで待つ: ロールアウト中は順位が日々動くため、完了の公式発表を待ってから分析する。この間に大きな改修をすると、何が効いたか分からなくなる
- ◆コンテンツ監査を行う: 被影響ページごとに「検索意図に完全に答えているか」「上位ページにあって自ページにない情報は何か」「著者・出典・更新日は明示されているか」「独自の経験やデータがあるか」を点検し、改善・統合・削除に振り分ける
- ◆改善を実施する: 優先順位は「表示回数が多く順位が落ちたページ」から。薄いページの増強、古い数値や事例の更新、誤情報の修正、重複ページの統合(301リダイレクト)を行う
- ◆低品質ページを整理する: 検索流入もリンクもなく、他のページと重複する内容はnoindexまたは統合する。サイト全体の平均品質を上げることが目的であり、ページ数を減らすこと自体が目的ではない
- ◆記録して次のアップデートを待つ: 何をいつ変えたかを一覧にし、次のコアアップデート後に同じ手順で比較する。回復しない場合は、改善の方向性が違ったか、競合との差が開いている可能性を検討する
アップデートに強いサイト設計
変動のたびに対応に追われないための、平時の設計です。
- ◆トピカルオーソリティ: テーマを絞り、そのテーマの周辺トピックを網羅的にカバーする。1テーマにつき「基礎・比較・手順・事例・用語」のように役割の違うページを揃え、内部リンクで束ねる
- ◆E-E-A-Tの可視化: 著者ページ、監修者、運営者情報、出典リンク、更新履歴を全ページで統一する。誰が書いたか分からないページは、どれだけ内容が良くても評価されにくい
- ◆一次情報の比率を上げる: 自社データ、検証結果、顧客事例、現場の写真など、他サイトが持っていない情報を各ページに1つ以上入れる
- ◆流入源の分散: 検索だけに依存せず、メール・SNS・指名検索・AI検索経由の流入を育てる。アップデートで検索が3割落ちても事業が止まらない構造にする
- ◆技術的健全性の維持: Core Web Vitals、モバイル表示、クロールとインデックスの状態を月次で点検する。技術要因の下落はアップデートと混同されやすい
- ◆更新の運用化: 主要ページは半年に1回、数値・事例・スクリーンショットを見直す日程を決める。「公開して放置」のページが増えるほど、サイト全体の鮮度評価が下がる
監視体制の作り方
異常に早く気づき、誤った対応を防ぐための最低限の仕組みです。
- ◆週次: Search Consoleでクリック数・表示回数・平均順位を前週と比較し、主要20クエリの順位を記録する
- ◆アップデート発表時: Search Status Dashboardの通知を受け取り、開始日をメモする。展開完了までは分析のみで改修はしない
- ◆月次: インデックス登録数、カバレッジの未登録理由、Core Web Vitalsの合否URL数を記録する
- ◆変更ログ: サイトの構造変更・大量公開・テーマ変更・リダイレクトの実施日を1つの表に残す。順位変動の原因切り分けに必須
よくある失敗
- ◆ロールアウト中に大改修する: 揺れている最中の順位を見て判断すると、方向を誤る。完了を待つ
- ◆下落=ペナルティと誤解する: コアアップデートは手動対策ではなく、Search Consoleに警告も出ない。相対評価の変化として扱う
- ◆noindexや削除を乱発する: 「低品質ページを消せば回復する」と聞いて、流入のあるページまで消してしまう。削除前に必ずSearch Consoleで流入と被リンクを確認する
- ◆タイトルと見出しだけをいじる: 順位が2〜3ページ目に落ちたページは、文言の調整では戻らない。本文の深さと一次情報が問われている
- ◆季節要因や技術要因を混同する: 繁忙期明けの自然減や、サーバー障害・noindexの誤設定をアップデートのせいにして原因を見誤る
🏋️実践ワーク
以下の課題に取り組みましょう。
- ◆過去12か月のSearch Consoleのクリック数推移に、Google公式のアップデート開始日を書き込み、一致する下落・上昇があるか確認する
- ◆直近のアップデートで表示回数が最も減った5ページについて、上位の競合ページと「情報の深さ・一次情報・著者情報・更新日」を表で比較する
- ◆サイト全体のページを「強化する・統合する・そのまま・削除する」の4つに分類したコンテンツ監査表を作る
よくある質問
コアアップデートで順位が下がった場合、どのくらいで回復しますか?
改善を行っても、評価が見直されるのは多くの場合次のコアアップデート以降です。目安として3〜6か月はかかると考え、その間に本文の増強・一次情報の追加・重複の整理を進めます。数日〜数週間で戻ることを期待して小手先の修正を繰り返すと、かえって原因の切り分けが難しくなります。
アップデートの影響を受けたかどうかは、どこで確認できますか?
Google Search Status Dashboardで公式のアップデート期間を確認し、Search Consoleの検索パフォーマンスで前後28日を比較します。下落の時期が展開期間と一致し、特定のテーマや種類のページに偏っていれば、アップデートの影響と判断できます。時期がずれている場合は技術要因や季節要因を先に疑います。
順位が下がっていない場合でも何かすべきですか?
はい。アップデートは相対評価なので、今回影響がなくても次回に競合が上がれば下がります。平時に著者情報と更新日の整備、薄いページの統合、主要ページの定期更新を進めておくことが、最も効果の高い「対策」です。
まとめ
アルゴリズムアップデート対策の本質は、下落したときの応急処置ではなく、影響を正しく判定できる体制と、平時からの品質の積み上げにあります。展開完了を待って比較し、被影響ページの共通点から仮説を立て、本文の深さ・一次情報・E-E-A-Tを優先順位をつけて改善し、次のアップデートで評価を確認する。この周期を回せるサイトは、変動のたびに強くなります。次の章では、SEOの高度なデータ分析を学びます。