WordPressは世界中のWebサイトの43%以上で使われているCMSです。しかし、その圧倒的なシェアゆえに毎日数万件以上のサイバー攻撃がWordPressサイトに対して行われています。
「うちは小さなサイトだから大丈夫」と思っていませんか?実は、攻撃者は自動化ツールで無差別にWordPressサイトをスキャンしているため、サイトの規模に関係なく被害に遭う可能性があります。
この記事では、WordPressのセキュリティ対策として初心者でも今すぐ実践できる10の設定を、具体的な手順付きで解説します。
WordPressがハッキングされる3つの理由
まず、なぜWordPressは狙われやすいのかを理解しましょう。
理由1: 圧倒的なシェア
WordPressは全Webサイトの43%を占めています。攻撃者にとっては、1つの脆弱性を見つけるだけで何百万ものサイトを攻撃できるため、非常に「効率の良い」ターゲットです。
理由2: プラグインの脆弱性
WordPressのプラグインは誰でも開発・公開できます。便利な反面、セキュリティホールを持つプラグインが数多く存在します。特に更新が止まったプラグインは危険です。
Sucuri社の調査によると、ハッキングされたWordPressサイトの約50%が古いプラグインが原因でした。
理由3: デフォルト設定のまま運用
管理画面URL(/wp-admin)やユーザー名(admin)をデフォルトのまま使っているサイトは、ブルートフォース攻撃の格好のターゲットになります。
WordPressの実際のハッキング被害事例
セキュリティ対策の重要性を実感するために、実際の被害パターンを紹介します。
ケース1: マルウェア埋め込み 古いプラグインの脆弱性を突かれ、サイトにマルウェアを仕込まれる。訪問者のPCにウイルスが感染し、Googleから「このサイトは危険です」と警告表示される。
ケース2: スパムリダイレクト サイトにアクセスすると、まったく関係のないスパムサイト(偽ブランド品販売サイトなど)にリダイレクトされる。SEO評価が壊滅的に低下。
ケース3: データベース改ざん 管理者アカウントを乗っ取られ、サイトの全コンテンツを削除・改ざんされる。バックアップがなければ復旧不可能。
ケース4: フィッシングサイト設置 サーバー内に偽のログインページを設置され、銀行やECサイトのフィッシング詐欺に利用される。最悪の場合、サーバー契約自体が強制停止される。
これらの被害は、以下の10の対策でほぼ確実に防ぐことができます。
今すぐやるべき10のWordPressセキュリティ対策
対策1: Wordfenceセキュリティプラグインを導入する
Wordfenceは世界で最も利用されているWordPressセキュリティプラグインで、無料版でも十分な機能を備えています。
Wordfenceの主な機能:
- ◆WAF(Webアプリケーションファイアウォール)で不正リクエストをブロック
- ◆マルウェアスキャン(ファイル改ざんを自動検知)
- ◆ブルートフォース攻撃の自動ブロック
- ◆リアルタイムの攻撃トラフィック監視
- ◆ログインセキュリティ(2FA対応)
導入手順:
- ◆管理画面 →「プラグイン」→「新規追加」→「Wordfence」で検索
- ◆インストール → 有効化 3.「Wordfence」→「Firewall」→「Manage Firewall」→「Optimize」をクリック
- ◆.htaccessモードを選択 → ファイアウォールが最高レベルで動作
対策2: 二段階認証(2FA)を設定する
パスワードが漏洩しても、二段階認証があれば不正ログインをほぼ完全に防げます。
設定手順(Wordfence内蔵の2FA): 1.「Wordfence」→「Login Security」→「Two-Factor Authentication」 2. Google AuthenticatorアプリでQRコードをスキャン 3. 表示されたコードを入力して設定完了 4. リカバリーコードを安全な場所に保管
対策3: ログインURLを変更する
/wp-adminや/wp-login.phpは攻撃者が最初に試すURLです。ログインURLを変更するだけで、攻撃の大半を門前払いできます。
設定手順:
1.「WPS Hide Login」プラグインをインストール・有効化
2.「設定」→「一般」→ ページ下部の「Login URL」を変更
3. 例: https://example.com/my-secret-login
4. 変更後のURLを必ずブックマーク
対策4: ログイン試行回数を制限する
ブルートフォース攻撃(パスワード総当たり攻撃)を防ぐため、ログイン失敗回数に制限をかけます。Wordfenceを導入済みなら、すでにこの機能が含まれています。
Wordfenceでの推奨設定: -「Wordfence」→「All Options」→「Brute Force Protection」
- ◆Lock out after 5回 のログイン失敗
- ◆Lock out for 30分間
- ◆Count failures over 5分間
対策5: 管理者ユーザー名を「admin」から変更する
adminは攻撃者が最初に試すユーザー名です。WordPressのダッシュボードからは直接変更できないため、以下の手順で対応します。
変更手順:
- ◆管理画面 →「ユーザー」→「新規追加」で別のユーザー名で管理者を作成
- ◆新しい管理者アカウントでログインし直す
- ◆旧
adminアカウントを削除(投稿の帰属先は新アカウントに変更)
対策6: WordPress・プラグイン・テーマを常に最新版に保つ
ハッキング被害の約50%が古いプラグインが原因です。更新を怠ることは最大のセキュリティリスクです。
自動更新の設定方法:
- ◆WordPress本体:「ダッシュボード」→「更新」→ 自動更新を有効
- ◆プラグイン:「プラグイン」一覧 →「自動更新を有効化」をクリック
- ◆テーマ:「外観」→「テーマ」→ 使用中テーマの「自動更新を有効化」
対策7: SSL証明書(HTTPS化)を設定する
HTTPSはセキュリティの基本中の基本です。通信を暗号化し、ログイン情報やフォーム入力が第三者に傍受されるのを防ぎます。
設定手順:
- ◆レンタルサーバーの管理画面でSSL証明書を発行(Let's Encrypt無料証明書が多い)
- ◆WordPress管理画面 →「設定」→「一般」→ URLを
https://に変更 3.「Really Simple SSL」プラグインで混在コンテンツを自動修正
GoogleはHTTPSをランキングシグナルとして使用しているため、SEO対策としても必須です。
対策8: データベースのテーブル接頭辞を変更する
デフォルトのテーブル接頭辞wp_はSQLインジェクション攻撃で利用されることがあります。
新規インストール時: インストール画面でwp_をxk7a_などランダムな文字列に変更
既存サイト:「Brozzme DB Prefix」プラグインで変更可能。必ずバックアップを取ってから実行してください。
対策9: 自動バックアップを設定する
万が一ハッキングされても、バックアップがあれば復旧できます。セキュリティ対策の最後の砦です。
UpdraftPlusの設定手順: 1.「UpdraftPlus」プラグインをインストール・有効化 2.「設定」→「UpdraftPlus Backups」→「設定」タブ 3. スケジュール設定:
- ◆データベース: 毎日バックアップ
- ◆ファイル: 毎週バックアップ
- ◆保存先: Google Drive、Dropbox、Amazon S3 のいずれかを選択
- ◆保持世代数: 最低7日分
対策10: xmlrpc.phpを無効化する
xmlrpc.phpはWordPressの古いリモートアクセス機能です。現在ほとんどのサイトで不要ですが、DDoS攻撃やブルートフォース攻撃に悪用されることがあります。
「Disable XML-RPC」プラグインをインストールするだけで対応できます。または.htaccessにFiles xmlrpc.phpのDeny from allルールを追記する方法もあります。
WordPressセキュリティチェックリスト
すべての対策を実施したか、以下のチェックリストで確認しましょう。
- ◆Wordfenceセキュリティプラグインを導入した
- ◆二段階認証(2FA)を設定した
- ◆ログインURLをデフォルトから変更した
- ◆ログイン試行回数を制限した(5回で30分ロック)
- ◆管理者ユーザー名を「admin」以外に変更した
- ◆WordPress・プラグイン・テーマを最新版にした
- ◆SSL証明書(HTTPS)を設定した
- ◆データベースのテーブル接頭辞を変更した
- ◆自動バックアップを設定した(UpdraftPlus推奨)
- ◆xmlrpc.phpを無効化した
よくある質問(FAQ)
Q. 無料のセキュリティプラグインで十分ですか?
はい、個人サイトや中小規模のサイトであればWordfenceの無料版で十分です。有料版はリアルタイムのファイアウォールルール更新や優先サポートが付きますが、無料版でも主要な機能はすべて使えます。
Q. セキュリティプラグインを複数入れた方が安全ですか?
いいえ、セキュリティプラグインの複数導入は推奨しません。プラグイン同士が干渉して不具合を起こしたり、サイトが重くなる原因になります。1つのプラグイン(Wordfence推奨)に絞りましょう。
Q. ハッキングされたかどうか、どうやって確認しますか?
以下の兆候があれば、ハッキングの可能性があります:
- ◆Wordfenceのスキャンで警告が表示された
- ◆身に覚えのない管理者ユーザーが追加されている
- ◆サイトが別のURLにリダイレクトされる
- ◆Googleの検索結果に「このサイトは危険です」と表示される
- ◆サーバーの使用容量が急増している
Q. レンタルサーバーのWAFだけでは不十分ですか?
レンタルサーバーのWAFは基本的な防御を提供しますが、WordPress特有の攻撃パターンには対応しきれない場合があります。Wordfenceなど、WordPress専用のセキュリティプラグインと併用するのがベストです。
Q. セキュリティ対策はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
月1回のチェックを推奨します。Wordfenceのスキャン実行、プラグイン・テーマの更新確認、バックアップの動作確認を月次ルーティンにしましょう。
まとめ: WordPressセキュリティは「予防」が最重要
WordPressのセキュリティ対策は、一度設定すれば終わりではなく継続的なメンテナンスが必要です。しかし、この記事で紹介した10の対策を実施すれば、ハッキング被害のリスクを95%以上低減できます。
まずは今日、Wordfenceの導入と自動バックアップの設定から始めてください。この2つだけでもセキュリティレベルは劇的に向上します。
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